|
|
 |
「だし」は美味しい料理の基本になるものです(料理の基本ではなく、美味しい料理の基本です)。
うどんやそばのつゆは、関東と関西ではその味つけがかなり違います。しかし、つゆを作るベースになっているものは、「だし」です。
かつお節を使うか、昆布を使うか、あるいは両方使うかの違いはありますが、味つけする前の「だし」のうま味は全国共通です。
味噌汁の味などは地域によって違うというよりは、各家庭の一軒ごとに違いがあります。けれども「だし」は、かつお節でも煮干でも、そのうま味は同じです。 天然の「だし」のうま味は、全国各地で毎日作られる、美味しい料理の基本になっているのです。
人の味覚には甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの基本の味で成り立っており そのなかで、美味しいと感じるのが「うま味」です。
その代表的なうま味成分がグルタミン酸やイノシン酸で、日本の伝統的な「だし」の素材として用いられている、かつお節や昆布に多く含まれているのです。
これらのうま味成分は、水に溶けやすい性質を持っていますが、「だし」を取るときに昆布を水につけておくのは、そのような性質を利用したものです。
「だし」を取り、それをベースに料理を作ることが美味しさの決め手になるのは、味覚のうま味が、「だし」に溶け込んだうま味を感じとるからなのです。
「だし」には、味をまろやかにする効果もあります。先ほどの、うどんやそばつゆがいい例ではないでしょうか。
関西のつゆは薄口です。これこそ「だし」がきいているといえる美味しさです。
反対に関東のつゆは、見た目も濃く、醤油も多く入っています。でも、塩辛くはありません。やはり美味しいです。これは「だし」がつゆの味を、まろやかにしているからでしょう。
コクをだすのも、「だし」の効果のひとつです。 味に深みというか厚みというか、何か多才なものを感じさせてくれます。
また、健康のことを考えても、「だし」をきかした料理はとても大切ではないでしょうか。高血圧の人などでも、「だし」をきかした料理なら、薄味でもとても美味しく食べることができるからです。薄味にすることは、素材の持つ美味しさを引き出すことにもなります。

ところで、インスタントの和風だしでも、それはそれで美味しいと思われるかたも多いでしょう。もちろん美味しいと思います。かつお節や昆布などに含まれているうまみ成分と同じものからできているからです。しかし、何かが足りない気がしないでしょうか。
たとえばインスタントのかつおだしは、かつお以外のものから化学的にうまみ成分を取り出して、それに少しだけかつお節を加えて風味を出しています。
本来の自然の風味ではありません。これは、かつおや昆布に含まれているうま味以外の成分の違いによるものかもしれません。
この風味の差は、結構大きいものがあります。塩でいえば、天日干しの自然海塩と精製塩の違い、みりんであれば、天然醸造の本みりんとみりん風味の違いのような気がします。
また、きちんと「だし」を取れば、料理がさらに美味しくなるとわかっていても時間がないとか、面倒だ、などの理由でやられていないかたもいると思います。
でも、よく考えたら、そんなに手間はかからないのではないでしょうか。
やり方にもよりますが、かつお節の「だし」なら数分で作れてしまいます。
あっという間です。洋風や中華のスープストックのように何時間もかかることはありません。ちょっと多めに作って、冷凍保存しておく方法もあります。
きちんと「だし」を取り、いろいろな料理に使ってみると、味がまったく違います。
味がうまい(旨い)だけでなく、料理がうまく(上手く)なります。
|
|